歴史・文化
願成就院
伊豆の国市寺家83-1奥州攻め戦勝祈願の寺 運慶作の国宝仏5体を安置
1189(文治5)年、源頼朝の奥州攻めの成功を祈って、北条時政が建立した寺院。次第に北条氏の氏寺的性格を強く持つようになり、二代執権北条義時や三代執権北条泰時によって堂塔が整備され、浄土様式の壮大な寺院となっていきました。戦火にあって堂宇は失われたましたが、発掘調査で大御堂・南新御堂・南塔・池畔などの跡が明らかになっています。境内は国指定史跡に指定されています。
寺には1186(文治2)年、運慶が30代の時に造った阿弥陀如来坐像・ 毘沙門天立像・不動明王像および矜羯羅童子像・制吒迦童子像とその胎内銘札や(すべて国宝)、北条政子の7回忌に造られた政子地蔵、本堂の阿弥陀如来像(ともに県指定文化財)など多くの寺宝が伝えられています。境内には北条時政の墓・足利茶々丸の墓・茶々丸首洗いの池などがあります。
国宝五仏は運慶の東国での造像を示す先駆的なものであり、胎内に納入されていた銘札から制作年と製作者(運慶)が明らかになったという点で大変貴重です。
作風は勇壮かつ繊細で、阿弥陀如来坐像の写実的な衣文と重厚感のある体躯、毘沙門天立像の凛々しい表情とバランスの取れた姿勢、不動明王立像の豪壮な顔立ち、矜羯羅童子像・制吒迦童子像の静と動の対比など、運慶の優れた才能を感じ取ることができます。
ぜひ実際に訪れて拝観することをおすすめします。
※運慶作の5体の仏像が、平成25年2月に国宝に指定されました。
国の文化審議会は、伊豆の国市寺家 (じけ)の願成就院(がんじょうじゅいん)に安置されている運慶作諸仏(木造阿弥陀如来坐像・木造不動明王像・童子立像(2体)・木造毘沙門天立像 計5体)を、平成25年2月27日(水)に開催された同審議会文化財分科会の審議・議決を経て、文部科学大臣に対して、国宝・重要文化財等の指定について 答申を行いました。
結果、願成就院にある運慶作諸仏は国宝に指定され、『彫刻』部門では中部地方初の国宝指定となりました。