伝統の保存食「潮かつお」伊豆半島の海の恵みと歴史

伝統の保存食「潮かつお」伊豆半島の海の恵みと歴史

伊豆半島は、古くからカツオやサバなどの回遊魚に恵まれた豊かな漁場として知られています。
特に西伊豆町田子地区では、豊富なカツオを利用して「潮かつお」という独特の保存食が作られてきました。

この伝統的な製法では、塩漬けにしたカツオを冬の風にさらして乾燥させ、保存料や乾燥機を一切使用しない方法で製造されています​​。

潮かつおの歴史

歴史的には、潮かつおの起源は奈良時代の733年にさかのぼり、当時の税金「租庸調」の一部として「荒堅魚(あらかつお)」が平城京に納められた記録が残っています。

この「荒堅魚」が潮かつおの原型であると考えられています。江戸時代には、かつお節の製法が伝わり、田子地区は「田子節」として鰹本枯節の三大産地の一つに数えられるようになりましたが、潮かつおは独自の伝統食として今日も受け継がれています​​。

また、潮かつおは縁起物としても重要な役割を果たしています。
漁師たちは航海の安全と豊漁を祈り、神事として潮かつおを藁で飾り付けて玄関や神社にお供えする習慣があります。

この習慣は、「潮かつお」が「正月魚(しょうがつよ)」とも呼ばれることから、特に田子地区では縁起物として重宝されています​​。
潮かつおを製造している加工所は西伊豆田子地区の3軒ほどとなり、日本で唯一の生産地となっています。

伊豆の豊かな海の恵みと古い歴史、地域の文化と習慣が織りなす伝統的な食品であり、末永く後世につなげていきたい食材です。

生産者のコメント

千年の鰹だし、潮鰹。その昔、奈良の都へ税金として、堅魚が西伊豆の田子地区から献上されました。
堅魚とは、カツオを干し乾燥させ固めた物(塩漬けし乾燥した物とも) とされています。

今から千三百年も前のことです。 私の住む町では、そんな昔からカツオの加工品が作られていました。
潮鰹「しおかつお」は今でも「正月魚」(しょうがつよ)とも呼ばれ作られ続けています。
代々口伝で伝えられてきた千年の歴史と共に、未来に残したい原点の美味しさがあります。

カネサ鰹節商店 五代目 芹沢安久

しおかつおが購入できるところ

創業から140年、しおかつおの他、「田子節」と呼ばれる本枯れの鰹節を造り続けています。
明治15年の創業以来受け継いできた地元の薪だけを使う「手火山式焙乾製法」を守り続ける一方で、日本の鰹文化を伊豆の子どもたちや世界へ伝える活動を行っています。
ご予約があれば、有料にて工場見学やかつお節削り体験も可能です。

店 名 カネサ鰹節商店
所在地 〒410-3515
静岡県賀茂郡西伊豆町田子600-1
連絡先 TEL:0558-53-0016

潮かつお おすすめの食べ方

しおかつおをお手軽に楽しむには、「手火山式」で丁寧に、燻し焼きされた「西伊豆 潮かつお燻焼き」がおすすめ。あつあつのご飯に、新鮮な生卵をを乗せ、ほぐした潮かつおの燻焼きをまぶします。お好みで海苔やゴマ、ねぎを加えて、田子節醤油をかければ、ご飯が何杯も進むこと間違いなしの一品です。

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