伊豆ハイキング特集 第2弾~城ケ崎海岸~

伊豆ハイキング特集 第2弾~城ケ崎海岸~

豊かな自然と雄大な地形を誇る伊豆半島はハイキングコースの宝庫!
今回は溶岩が作り出したダイナミックな景観が魅力の“城ヶ崎海岸”をご紹介します。

 

伊東市南部に広がる城ヶ崎海岸は、およそ4,000年前に噴火した大室山の溶岩流によって作り出されました。

富戸港付近の“ぼら納屋”と八幡野港をつなぐ全長約9㎞、所要時間約4.5時間の遊歩道(城ケ崎自然研究路・城ケ崎ピクニカルコース)が整備されており、雄大な景観に加え、2つのつり橋や灯台、国指定天然記念物のある寺院など、見どころに事欠かない人気のハイキングコースとなっています。

また伊豆半島ジオパークのジオサイトにも登録されており、各所で伊豆の大地の成り立ちを体感いただけます。伊豆半島ジオパーク公式HPでは各スポットの見どころを紹介していますので併せてご覧ください。

※今回ご紹介するのは八幡野港から“ぼら納屋”へ向かって北上するルートです。

 

【八幡野港(自然研究路起終点)】

伊豆高原駅やまも口から南西方向へおよそ30分、八幡野の集落にある城ケ崎自然研究路の入り口に到着します。看板に従ってすぐにハイキングを開始するのもよいですが、その前にちょっと寄り道して見学するのをおすすめしたいスポットがあります。

そのスポットの名前は”堂の穴”。この看板から海側の路地へ少し入ったところにある洞窟で、入口と内部には石仏や祠が祀られています。来宮神社の旧社地だったともいわれている洞窟は神秘的でパワースポット感に溢れる雰囲気を醸し出しており、一見の価値があります。

 

【橋立つり橋と対島の滝】

城ケ崎自然研究路に入り、20分ほど歩くと“橋立つり橋”に差し掛かります。

周辺の切り立った地形と太平洋が織りなす絶景を堪能できるスポットですが、全長が60m、高さは18mあってなかなかスリルがあるため、高いところが苦手な場合はつり橋の山側にある迂回路のご利用をおすすめします。

橋立つり橋を渡り10分程歩くと今度は小さな川“対島川”に架かる橋を通り過ぎます。この“対島川”、好天時は水量が少なく枯れ沢に近い状態ですが、雨天により水量が増したときに限り、対島の滝という特別な光景を作り出します。

橋の北側には展望台も設置されているので、運が良ければ特徴的な海岸線に加え、海に向かって流れ落ちる滝の姿を楽しむことができます。

この周辺のジオサイト情報

・橋立(大淀・子淀)https://izugeopark.org/geosites/hashidate/?cid=01

 

対島の滝を過ぎるとしばらくは木々の間から海を臨むトレイルが続きます。

大室山から海へと流れ出た溶岩によって作られた海岸線は、のこぎり状に岬が突き出した地形となっているため、ルート上には多くの岬と入り江が登場します。それぞれの岬(磯)には“てんまじり”や“いがいが根”、“かどかけ”といった名前が付けられており、それぞれの入り口には岬(磯)の名前を記した看板が立っています。次々現れる特徴的な岬を眺めつつ、名前の由来を想像しながらハイキングするのも楽しいかもしれません。

この周辺のジオサイト見どころ情報

・いがいが根 https://izugeopark.org/geosites/igaigane/?cid=01

・かんのん浜 https://izugeopark.org/geosites/kannonhama/?cid=01

 

【蓮着寺周辺】

対島の滝から2時間程度進むと、かつての灯台跡である篠海(ささみ)灯明台にたどり着きます。

1916年頃に蓮着寺の住職によって造られた灯明台は、毎夜石油ランプの灯で海を照らし、近海を航行する船舶の安全を支え法界万雪灯とも呼ばれましたが、現在では石垣と1922年に建てられた常夜灯碑が残るのみとなっています。

灯明台がある岬は、かつて鎌倉幕府から伊豆に流された日蓮上人がこの岬直下の離れ磯“俎岩(まないたいわ)”に置き去りにされたといわれていることから“日蓮岬(崎)”と名付けられており、すぐ北には日蓮上人のゆかりにちなんで建てられた“奥の院(祖師堂)”をルーツとする蓮着寺があります。

蓮着寺の境内には日蓮上人ゆかりの“袈裟かけの松”や“石食いのモチの木”のほか、国指定の天然記念物であるヤマモモなど、見どころがたくさん。特に“蓮着寺のヤマモモ”は樹高15m、根廻り7.2m、樹齢は推定1,000年といわれている巨木で、三本に枝分かれした幹が空に向かって広がる様は壮観です。

 

【門脇岬と門脇つり橋】

蓮着寺を出発し、ニューヨークランプミュージアム&フラワーガーデン(伊豆海洋公園)前を経由して北へ30分程進むと、城ヶ崎海岸でもっとも人気がある門脇岬にたどり着きます。

門脇岬は周辺でも特に沖に突き出た断崖の岬で、太平洋と城ヶ崎海岸の荒々しい地形を一望できる絶景スポットですが、足元はごつごつした岩場で、一部手すりが設置されていない部分もあるため、見学の際には十分な注意が必要です。

門脇岬の根本に建つ門脇埼灯台には地上17mに展望台(室内)が設置されており、伊豆七島や天城連山の峰々の姿を堪能できるのでこちらもおすすめです。

また門脇岬の北側にある、高さ23m、長さ48mの門脇つり橋は開放的な景観とスリルを楽しめるスポットとして、年間を通じて多くの観光客で賑わいます。橋立つり橋と同様、迂回路があるので高いところが苦手な方でも安心です。

 

この周辺のジオサイト見どころ情報

・門脇埼 https://izugeopark.org/geosites/kadowakizaki/?cid=B03

 

門脇つり橋を渡り10分程歩くと、遊歩道の左手に“黒船防備砲台跡”の看板が現れます。これは幕末期に黒船の来襲に備えて設置された砲台の跡地で、江戸湾防衛の実務責任者であった江川英龍(江川太郎左衛門)によって設置されました。江川英龍は、後に世界遺産“韮山反射炉(伊豆の国市)”建造に取り組み、明治期の日本産業革命の基礎を築きました。

 

【ぼら納屋(ピクニカルコース起終点)】

砲台跡を過ぎ、10分ほど歩くとピクニカルコースの起終点であるぼら納屋に到着します。

ぼら納屋は、かつてのぼら漁の根拠地で、ぼらが回遊する春と秋には漁師が住み込んで、海辺にある魚見小屋からのホラ貝や旗を合図に出漁したといわれています。水揚げされたぼらは江戸城へ献上され、徳川3代将軍家光の食膳にも供されたとされています。

漁師の減少等によって、ぼら漁も行われなくなりましたが、ぼら納屋は地元の人々の手で復元され、磯料理を楽しめる食事処として活用されています。今回ご紹介したルートの場合は、朝に伊豆高原駅を出発すると、ちょうどお昼時にぼら納屋へ到着します。新鮮な海の幸でハイキングの疲れを癒してみてはいかがでしょうか。

ぼら納屋から城ヶ崎海岸駅までは約40分、富戸駅までは約50分の距離です。もう少し海沿いのハイキングを楽しみたいのであれば富戸駅へ向かうのがおすすめですが、駅周辺が急峻な坂道となっているため、残りの体力と相談してご判断ください。

 

溶岩流が作ったダイナミックな地形と景観、そして伊豆の大地の営みを感じることができる城ヶ崎海岸。アップダウンも少なく、快適な遊歩道も整備されていますので、今度のハイキングにいかがでしょうか?

伊豆半島ジオパーク公式HPでは各スポットの見どころを紹介していますので併せてご覧ください。

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